私は20さい。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の語学学校に通う大学生だった。
何を思ったのか、好きだったホームステイ先を変え、そこに私は移り住んだ。
その家には、真っ黒な犬と、大きなホストマザーと、思春期であろう娘が暮らしていて、私ともう一人韓国人の生徒がホームステイさせてもらっていたっけ。
移り住んできた初日、私は自己紹介がてらにギターを取り出して歌った。
とても嬉しそうに、
「あなたは、日本のJewelね!知ってるジュエル?このサンディエゴで歌っているのよ」
―ジュエル・・?
私はその時初めてジュエルの名を耳にした。
この日以来、私たちはほぼ話さなかった。
話してくれなかったし、話しかけなかったのだと思う。
なんだか、そうゆう雰囲気になっちゃった。
たぶん忙しかったのかな。
あんまり興味がなかったのかな。
ああ、ごはん美味しくなかったな。
夜中に私たち生徒のことを嫌そうに話していたの聞こえてきたな。
私は、どうしようもない気持ちからなのか、友達をこっそり部屋に招きいれて好き勝手に遊んだ。
見つかって、かなり怒られたな。
そりゃ怒るわ。私がホストマザーだったとしても怒るわ。
今思うと、私が悪かったなあ。
ホストマザーの名前も顔も思い出せないけれど、「ジュエルみたいね!」と言ってくれた時の、
あの夜のことは、忘れない。
あの夜のことは、忘れない。
きっと、嬉しかったんだろうね。
あの日から、私はジュエルを聴くようになった。
2006 July, ホームステイ先までの長い道のり
chacchi
Past Memories: Eva Cassidy との出会い/ Alan Jacksonとの出会い
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